子どもの写真の撮り方を調べると、カメラメーカーの解説がたくさん出てきます。書かれていることは正しいのですが、前提が「自分の子どもを、好きなだけ時間をかけて撮る」場合です。
仕事として撮るときは条件が変わります。相手は初めて会う家族で、子どもは緊張していて、時間は決まっていて、しかも枚数のノルマがあります。
たとえば出張撮影のfotowaは、60分の撮影で75枚以上を納品することを規定しています(出典:fotowa フォトグラファー募集。2026年8月18日時点)。
この記事では、その条件から逆算した撮り方を説明します。
理由は3つに分けられます。それぞれ対処が違うので、混ぜて考えないでください。
| 理由 | 起きること | 効くもの |
|---|---|---|
| 動く | ぶれる、ピントが外れる | カメラの設定 |
| 待たない | こちらの準備中に飽きる | 撮る順番 |
| 緊張する | 表情が固まる、隠れる | 声のかけ方 |
上手く撮れないとき、多くの人は設定を疑います。しかし現場でつまずくのは、たいてい2番目と3番目です。
動きを止めることを最優先にします。
シャッタースピードを先に決める
止まっている子で1/250秒、歩き回る子で1/500秒、走る子で1/1000秒が目安です。シャッタースピードを固定して、他を合わせます。
明るさが足りなければISO感度を上げてください。今のカメラはISO3200程度なら十分に使えます。ぶれた写真は直せませんが、多少のざらつきは編集で目立たなくできます。 迷ったら感度を上げるほうです。
絞りは開けすぎない
背景をぼかしたくて開放(F1.4やF1.8)にすると、動く子ではピントの合う範囲が狭すぎて外します。F2.8〜F4が扱いやすい範囲です。
きょうだいや家族を並べるときは、さらに絞ってF5.6にします。前後にずれて立つので、開けたままだと後ろの人がぼけます。
ピントは追いかけさせる
AF方式を「コンティニュアスAF(AF-C/AF-S以外)」にします。シャッターを半押ししている間、ピントが被写体を追い続けます。瞳を検出する機能があれば入れてください。
連写を使う
子どもの表情は一瞬で変わります。1枚ずつ狙うより、3枚ずつ連写して選ぶほうが確実です。75枚の納品が求められる現場では、撮影枚数そのものを増やす必要もあります。
屋外なら、太陽を子どもの後ろに置きます。
正面から当てると、まぶしくて目を細めます。表情が固くなる原因の多くはこれです。後ろから当てると、髪の輪郭が光って、顔に柔らかい光が回ります。
顔が暗くなる場合は、露出を+0.7〜+1.0段ほど明るく補正してください。背景が白く飛んでも、顔が適正なら写真として成立します。 逆は成立しません。
屋内なら、窓に向かって立たせます。 部屋の照明よりも、窓から入る光のほうがきれいです。窓を背にすると顔が影になります。
季節ごとに光が使える時間がどれだけ違うかはポートレートの撮り方は?で計算しています。

時間が決まっている撮影では、順番が結果を左右します。子どもの集中は最初の15分で切れます。
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0〜10分 家族全員の集合、記念になる写真
10〜25分 子ども単独、きょうだい
25〜45分 遊んでいる様子、自然な表情
45〜60分 親子、予備
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必要な写真を先に撮ります。 「あとで集合写真を」と思っていると、そのころには子どもが動かなくなっています。
遊びの時間を後半に置くのは、飽きたあとでも撮れるからです。走らせる、抱き上げてもらう、シャボン玉を渡す。動いてもらえば、こちらは撮るだけで済みます。
撮り方を手順に変える/仕事のありかを知る/始めない理由をひとつずつ外す。 この3つを曜日ごとに分けて、隔日でお届けしています。登録はメールアドレスだけです。
ここが技術より効きます。子どもにとって、カメラを持った大人は知らない人だからです。
「こっち見て」と言わない
指示された瞬間に表情が固まります。カメラ目線が必要なときは、名前を呼ぶか、こちらが変な音を出すほうが早いです。
「笑って」も言わない
作った笑顔になります。笑わせたいなら、質問をしてください。「今日ここまでどうやって来たの」「好きな食べものは」。答えている途中の顔が一番いい表情になります。
まず親と話す
子どもは親の様子を見ています。親がこちらを警戒していると、子どももほどけません。撮影に入る前に、親と普通の会話をしてください。それを見て、子どもは「この人は大丈夫な人だ」と判断します。
夫婦で出張撮影をしている卒業生は、自分の立ち位置をこう話しています。
「親戚のおばさんだと思ってカメラマンやってるんで」
— 本業を持ちながら夫婦で出張撮影をしている卒業生
夫婦で出張撮影をしている方のインタビュー(約12分)
カメラマンではなく、親戚の人として振る舞う。 子ども撮影では、これが一番効く構えです。
止めようとしないでください。
まず撮るのをやめて、カメラを下ろします。 レンズを向けたままなだめても、子どもには「まだ撮られている」としか伝わりません。
親に任せて、その間に別のものを撮ります。会場の様子、衣装の細部、親の手元。待っている時間も、納品する写真になります。
落ち着いたら、いきなり顔を狙わず、後ろ姿や手元から入ります。泣いたあとの写真は、あとで見返すといい記録になることも多いです。
納品する枚数の3〜4倍が目安です。75枚納品するなら、250〜300枚は撮ります。
多く感じるかもしれませんが、子どもの写真は歩留まりが低くなります。目をつむる、顔が切れる、後ろを向く。選べる状態を作っておかないと、納品の段階で足りなくなります。
一方で、撮りすぎると選ぶ時間が伸びます。1件の撮影にかかる時間は、撮影より編集のほうが長くなります。時間の配分は出張撮影の料金はどう決まる?で詳しく扱っています。
スマートフォンでも撮れますか?
自分の子どもを撮る分には十分です。ただし仕事として受けるなら向きません。出張撮影サービスは一眼カメラの所有を条件にしていることが多く、動く子どもへのピント合わせでも差が出ます。
どのレンズがいいですか?
標準ズーム1本で足ります。子ども撮影では距離が頻繁に変わるので、レンズ交換をしている余裕がありません。単焦点を使うなら35mmか50mmです。
保護者に写真を使う許可はどう取りますか?
撮影の前に伝えます。撮ってから頼むと断られます。作例として使う場合の伝え方はカメラマンのポートフォリオは何枚必要?で説明しています。
練習はどこですればいいですか?
知人の家族を撮らせてもらうのが一番早いです。公園で他人の子どもにレンズを向けるのは、通報される可能性があるので避けてください。
何歳が一番難しいですか?
1歳半から3歳ごろです。動けるようになり、まだ指示が通りません。この年齢は、指示ではなく遊びで動いてもらいます。
技術の前に、その場の空気を作ることです。撮られる側がほどけていれば、あとは押すだけになります。
関連記事:カメラマンのポートフォリオは何枚必要?/出張撮影の料金はどう決まる?/写真の撮り方
※この記事で紹介した卒業生の事例は個人のものであり、同様の成果を保証するものではありません。
※撮影条件は2026年8月18日時点で公式ページに掲載されていた内容です。規定は変更されることがあります。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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