集合写真は、1人でも目をつむると使えません。しかも撮り直しがきかない場面が多く、その場で成否が決まります。
では何枚撮れば安全なのか。実は、これを計算した研究があります。
オーストラリアの国立研究機関CSIROのニック・スヴェンソン氏とピアス・バーンズ博士が、この問題を計算しました。2006年のイグ・ノーベル賞(数学賞)を受けています。
導かれた目安はこうです(出典:ABC Science。2006年10月6日)。
| 条件 | 撮る枚数 |
|---|---|
| 明るい場所(20人未満) | 人数 ÷ 3 |
| 暗い場所(20人未満) | 人数 ÷ 2 |
9人の家族なら、明るい屋外で3枚。同じ9人でも、暗い室内なら5枚です。
さらに、必要な枚数は人数が増えるほど急に増えます。 記事では、50人前後になると「誰も目をつむっていない1枚」を期待すること自体が難しくなる、とされています。
これは「たくさん撮れ」という精神論ではなく、確率の話です。人数が2倍になると、必要な枚数は2倍では済みません。
実際の現場では、この目安の倍を撮っておくと安心です。3枚が目安なら6枚。連写を使えば数秒で済みます。
難しさは3つに分かれます。
| 理由 | 起きること |
|---|---|
| 目をつむる | 人数分だけ確率が上がる |
| 奥行きができる | 前後にずれて立つのでピントが外れる |
| 全員を同時に見られない | 撮影中に端の人の状態が確認できない |
3つ目が、慣れていないと一番つまずく部分です。ファインダーの中央ばかり見ていると、端に立っている人が半分切れていたということが起こります。
基本は、奥行きを作らないことです。
横に広げるほうが、前後に重ねるより安全です。前後にずれると、ピントの合う範囲から外れる人が出ます。
階段や段差があれば使ってください。全員の顔が同じ距離になり、しかも全員が見えます。 神社の階段、公園の階段、玄関先の段差。ロケーションを決めるときに、段差があるかを見ておくと撮影が速くなります。

人物1人を撮るときとは、設定が変わります。
絞りはF5.6〜F8
背景をぼかす撮り方はしません。全員にピントを合わせることが最優先です。人数が多く、前後に列ができるほど絞ります。
ピントは前から3分の1あたり
2列なら前列の人に合わせます。ピントの合う範囲は、合わせた点の手前より奥のほうに広く出るためです。
シャッタースピードは1/125秒以上
人数が多いほど、誰かが動きます。1/125秒を下限にしてください。子どもが混ざるなら1/250秒です。
連写にする
計算上必要な枚数を、確実に撮るためです。1枚ずつ押すと、その間に表情が崩れます。
撮り方を手順に変える/仕事のありかを知る/始めない理由をひとつずつ外す。 この3つを曜日ごとに分けて、隔日でお届けしています。登録はメールアドレスだけです。
枚数を増やす以外に、確率そのものを下げる方法があります。
目を閉じてもらってから開けさせる
「いったん全員、目を閉じてください」と伝えて、「はい、開けて」で撮ります。開けた直後は、しばらくまばたきが起きません。
大人数のとき、暗い場所のとき、フラッシュを使うときに効きます。
カウントは3回まで
「3、2、1」で1回撮り、そのまま続けてもう2回押します。1回目より2回目のほうが、表情がほぐれていることが多いです。
まぶしくさせない
太陽が正面にあると、全員が目を細めます。太陽は背中側に置いてください。逆光で顔が暗くなる場合は、明るく補正するか、フラッシュを弱く当てます。
光の向きと時間帯の考え方はポートレートの撮り方は?にまとめています。
祈祷の前に撮ります。
終わったあとは、子どもが疲れて動かなくなります。着物も乱れます。到着してすぐ、まだ整っているうちに集合写真を押さえてください。
神社では次の点を先に確認します。
祖父母が同行することも多く、そのときは人数が一気に増えます。誰と誰の組み合わせで撮るかを、撮影前に親に聞いておくと、現場で迷いません。両家、父方だけ、母方だけ、子どもと祖父母だけ。この確認を飛ばすと、あとで「あの組み合わせがない」と言われます。
子ども側の撮り方は子どもの写真の撮り方は?にまとめています。
その場で確認します。
撮ったら背面の画面で拡大し、端の人まで目が開いているかを見ます。全員が揃っている時間は、その一度きりです。家に帰ってから気づいても直せません。
確認するのは3点だけで足ります。
1. 全員の顔が写っているか(切れていないか)
2. 目が開いているか
3. ピントが合っているか
10秒で終わります。この10秒を惜しんで撮り直せなくなるほうが、はるかに大きな損です。
三脚は必要ですか?
手持ちで撮れます。ただし自分も入る場合や、暗い場所では使います。神社や施設では三脚の使用が禁止されていることがあるので、事前に確認してください。
スマートフォンでも撮れますか?
記念に撮る分には十分です。仕事として受けるなら、人数が多いときの解像度とピントの安定で差が出ます。
何人までなら撮れますか?
20人を超えると、全員が目を開けている1枚を偶然に頼るのが難しくなります。人数が多いときは「目を閉じてから開ける」方法を使ってください。
縦と横のどちらで撮りますか?
横です。人が横に並ぶためです。ただし納品では縦位置も求められることがあるので、横で押さえたあとに縦でも数枚撮っておきます。
フラッシュは使いますか?
屋内や日陰では使います。ただし正面から強く当てると影が背後に出ます。天井に向けて反射させるか、光量を弱めてください。
集合写真は、腕より段取りで決まります。並べ方と枚数を先に決めておけば、現場で迷いません。
関連記事:子どもの写真の撮り方は?/出張撮影の料金はどう決まる?/写真の撮り方
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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