ストロボ 使い方で調べると、機材の設定と光の当て方が出てきます。どれもスタジオか、時間をかけて1枚を作る前提の説明です。
出張撮影で使うなら、その前に確かめることがあります。その場所に、機材を持ち込んでいいのかどうかです。
出張撮影の現場でよくある神社仏閣には、機材の持ち込みを明記して断っているところがあります。
清水寺(2026年8月20日時点、よくあるご質問)
ドローンを使った撮影、一脚、三脚を使った撮影、ウエディング、コスプレ、モデルを使った撮影はできません。
根津神社(境内での撮影について)は、許可していない撮影のなかにこう挙げています。
大きな機材やレフ版、用具、毛せんなど敷物を使用しての撮影
レフ板が名指しで挙がっています。 光を足す道具は、参拝している他の人から見れば「大きな機材」です。ストロボにスタンドやアンブレラを付ければ、当然そこに含まれます。
つまり出張撮影では、ストロボを使う前に「使える場所か」が決まっていることになります。設定の話は、そのあとです。
※各社の規定は2026年8月20日時点のものです。規定は変わります。必ずご自身で最新のものを確認してください。
許可されている場所でも、屋外の家族撮影ではストロボを立てない選択をすることが多くなります。理由は3つです。
1. 子どもが光を嫌がる
正面から強い光が来ると、小さい子は目をつぶるか、顔をそむけます。光った瞬間に警戒されると、そのあとの表情が硬くなります。 一度崩れた機嫌は、撮影時間のなかでは戻りません。
2. 参拝している人がいる
神社は撮影のための場所ではありません。発光は目立ちます。 他の参拝者の写真に写り込むこともあります。
3. 時間が足りない
出張撮影のfotowaは、60分の撮影で75枚以上の納品を規定しています(出典:fotowa フォトグラファー募集。2026年8月20日時点)。48秒に1枚のペースです。
ストロボを立て、光量を合わせ、テスト撮影をして、移動のたびに畳んで運ぶ。その時間は、撮影枚数から引かれます。 機材を増やすほど、1枚あたりに使える時間は短くなります。
60分をどう組み立てるかは、公式メールマガジンでも触れています。
自然光でどうにもならない場面が3つあります。ここは使ったほうが確実です。
1. 屋内で、窓から遠いとき
お食い初め、初節句、自宅での記念撮影。窓から離れた場所は、感度を上げても色が濁ります。 天井が白ければ、そこへ向けて光を跳ね返す(バウンス)だけで色が戻ります。
2. 日中の強い日差しで、顔に影が出るとき
夏の正午は太陽が真上にあり、目の下と鼻の下に濃い影が出ます。帽子をかぶっていればなおさらです。 ここで弱く光らせると、影だけが持ち上がります。
ただし、11月の午前中のように太陽が低い時期は、この処理そのものが要りません。11月15日の東京の南中高度は35.9°で、真上から当たらないからです(出典:国立天文台 暦計算室 各地のこよみ)。季節によって、必要かどうかが変わります。
3. 背景を残したまま、人物を明るくしたいとき
夕暮れの空を色として残しつつ、人の顔も見えるようにしたい場面です。空に露出を合わせると人が暗くなり、人に合わせると空が飛びます。ここは光を足すしかありません。
現場で迷わないための順番です。
1. カメラのモードは絞り優先、ストロボはTTL(自動調光) から始めます。まず1枚撮ります
2. 明るすぎ・暗すぎは調光補正で直します。 カメラ側の露出補正ではなく、ストロボ側の補正です
3. 天井が白ければ、真上か斜め上に向けます。 直接顔に向けると、テカりと背後の濃い影が出ます
4. 天井が高い、または色つきなら、正面に戻して弱めます。 跳ね返らない天井にバウンスしても、光が消えるだけです
最初からマニュアルで光量を組む必要はありません。TTLと調光補正で足りる場面がほとんどです。 迷っている時間のほうが、仕上がりに響きます。
ストロボを買う前に、その現場で使えるかどうかを先に確かめてください。
出張撮影で家族写真を中心に受けるなら、先に必要になるのは光を足す機材ではなく、光がある時間に予約を入れる設計です。11月の日の入りは16:35で、15時開始の枠では自然光がほとんど残りません。
このあたりの組み立て方はポートレートの撮り方にまとめています。
写真を仕事にするまでの手順は、公式メールマガジンで配信しています。撮り方・仕事のありか・値段の決め方を、曜日ごとに分けて隔日でお届けします。登録はメールアドレスだけです。
現場のルールについては七五三写真の撮り方もあわせてどうぞ。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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