公園での撮影許可を調べると、住んでいる市区町村のページが出てきます。そこには、その市のことしか書いてありません。
隣の市では条件が違います。しかも、出張撮影を仕事にするうえで一番困るところが、たいてい最後のほうに小さく書かれています。
先に結論を書きます。
| 杉並区 | 大田区 | 横浜市 | |
|---|---|---|---|
| 写真の使用料 | 1時間 1,997円 | 1時間 1,997円 | 4時間以内 15,000円 |
| 動画の使用料 | 1時間 17,625円 | 1時間 17,625円 | 4時間以内 30,000円 |
| 申請の期限 | 3日前 | 14日前(企画書) | 公園により1〜3週間前 |
| 撮影できる曜日 | 平日のみ | 平日のみ | 原則 平日 |
| 時間 | 8:30〜17:00 | 8:30〜17:00 | 9:00〜17:00 |
※各区市の公式ページより。杉並区は2025年11月17日更新、大田区は2025年6月3日更新(占用料単価は令和7年4月時点)の内容です。料金も条件も変わります。申請の前に、必ずご自身で最新の要件を確認してください。
3つとも、土日祝日に許可が下りません。
杉並区の記載はこうです(公園で撮影をする場合)。
撮影日時は、平日の午前8時30分から午後5時までです。土曜日・日曜日・祝日及び、早朝・夜間の撮影はできません。
大田区も同じです(公園での撮影許可について)。
土日祝日の撮影はできません。
家族写真の出張撮影は、土日に集中します。 ご両親が休みの日、七五三の参拝に合わせた日。そこに許可が下りないとなると、話が噛み合いません。
ただし、動きはあります。横浜市は2026年4月1日から、山下公園に限って、業によるウェディング写真の土日祝日の撮影を許可しました。
令和8年4月1日以降に実施する撮影について、山下公園におけるウェディング写真に限定して、業による撮影であっても土日祝日の撮影を許可します。(中略)※ウェディング写真以外の業による撮影は引き続き土日祝日の許可はできません。
ウェディングだけです。七五三や家族写真は、引き続き土日の許可が下りません。 それでも、条件が動く場所があるということです。去年調べた内容が、今年も同じとは限りません。
ここで多くの人が固まります。では、土日の公園で家族写真を撮っている人たちは、何をしているのか。
順番に見ていきます。なお、依頼を受けてから当日までの流れそのものは、公式メールマガジンでも説明しています。
ここが分かれ目です。「営利かどうか」で決まる、と単純に言い切れません。
大田区は、許可が必要な場合をこう挙げています。
営利目的での撮影(テレビ番組制作、動画共有サイト等への掲載目的のロケーション、写真撮影など)/報道目的での撮影/公園の紹介目的での撮影/その他撮影会など
そのうえで、注釈がついています。
(注釈1)営利を目的としない家族・友人・サークルなどの撮影は、申請の必要はございません。
杉並区は、対象をこう書いています。
区立公園を撮影(テレビ番組、CM、販売ビデオ、業としてのSNS、雑誌等掲載写真等)で使用する場合は、事前に申請が必要です。個人利用の撮影(家族や友人等のスナップ撮影・動画撮影、趣味の風景撮影等)は申請不要です。
並べると、この2区が想定しているのはメディアの撮影です。 テレビ、CM、雑誌、動画共有サイトへの掲載。杉並区が企画書に求める項目にも「掲載媒体名(テレビ局名、雑誌名、サイト名等)、放送・掲載予定日」とあります。ご家族の記念写真は、例示の中に出てきません。
ところが、横浜市はまったく違う書き方をしています。
横浜市の都心部公園(山下公園、港の見える丘公園、横浜公園など)のページには、許可が必要な撮影の具体例として、はっきりこう書かれています(横浜市都心部にある公園の撮影手続きについて)。
婚礼、成人式、七五三などの各種記念撮影(静止画撮影)
判定の基準も示されています。
私用目的であっても、撮影者及び被写体の双方もしくはいずれかに金銭等の授受が生じている場合は、商業撮影として扱います。
「撮影者に金銭等の授受が生じている場合」です。 ご家族にとって私用の記念写真でも、カメラマンが料金をいただいていれば商業撮影になります。
同じ「公園の撮影許可」で、書いてあることがここまで違います。 千葉県立都市公園条例のように「業として写真又は映画を撮影すること」と、撮る側を主語にして書いている条例もあります。
だから、調べるのではなく聞くことになります。
「営利目的にあたりますか」と聞かないでください。言葉の定義の話になって、答える側も困ります。
起きることをそのまま伝えます。
七五三のご家族4人を、○○公園で撮影したいというご依頼をいただきました。私はプロのカメラマンで、ご家族から撮影料をいただきます。 手持ちのカメラ1台だけで、機材は立てません。時間は1時間ほど、日曜の午前を予定しています。このとき、許可の申請は必要でしょうか。
この5つが入っていれば、相手は判断できます。
1. どこの公園か
2. 何を撮るか(家族写真/七五三など)
3. お金をいただくかどうか
4. 機材の規模(手持ちだけか、三脚やレフ板を立てるか)
5. 日時(とくに土日かどうか)
4は効きます。 杉並区は「使用できる機材は、手持ち機材のみです」と条件に入れていて、大田区はドローン・レール・クレーンを禁じています。手持ち1台と、照明を組む撮影では、公園側の受け取り方が変わります。
聞いた結果は、日付と担当課の名前まで控えておいてください。 次の依頼で同じ公園を使うときに効きます。
検索の言葉が決まっています。
「◯◯市 公園 行為許可」 または 「◯◯市 都市公園条例 撮影」
「撮影許可」で引くと、映画やドラマのロケ誘致(フィルムコミッション)のページが先に出てきます。あれは制作会社向けで、こちらの話とは規模が違います。
出てこない場合は、公園の入口にある看板の管理者名を見ます。県立か、市立か、指定管理者か。 ここで窓口が変わります。
わたしたちが調べた各都道府県の窓口一覧もありますが、自治体のページは統廃合で移動します。 最後は電話が早いです。
期限が自治体で3倍以上違います。
大田区の「14日前・区の休日を除く」は、実際には3週間近く前ということです。依頼を受けてから動いたのでは間に合いません。
もうひとつ。杉並区にはこの一文があります。
撮影を中止、延期した場合の占用料金は、お返しすることができません。
雨天順延のある撮影で、これは効きます。 順延の可能性がある日程なら、先に伝えて確認しておくことになります。
順番はこうなります。
1. 場所と日時を聞いた時点で、その公園の管理者を調べる
2. 土日の依頼なら、その公園で土日の許可が下りるかを最初に確認する
3. 許可が要らない扱いなら、言われた条件(機材・人数・時間)を守る
4. 許可が要るなら、期限から逆算する。14日前が期限なら、依頼を受けた日から動く
5. 下りなかったときの代替案を用意しておく
神社は、これと逆になります。 神社ではお客さまが確認し、公園ではカメラマンが申請する。この違いは神社の撮影許可は誰が取る?にまとめました。
写真を仕事にするまでの手順は、公式メールマガジンで配信しています。撮り方・仕事のありか・値段の決め方を、曜日ごとに分けて隔日でお届けします。登録はメールアドレスだけです。
料金の決め方は出張撮影の料金相場、当日の進め方は七五三写真の撮り方にまとめています。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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