2026年(令和8年)4月1日から、国家公務員の兼業の制度が変わりました。
そして新しい制度の説明に、「写真」という言葉が出てきます。
ただ、そのすぐ前に「想定していません」と書かれた形態があります。 そこを読み飛ばすと、判断を間違えます。
原文で確認しました。
※以下は国家公務員についての制度です。地方公務員は別の法律によります(後述)。個別の可否は、必ず所属先の承認権者にご相談ください。
人事院が令和7年12月に発表し、令和8年4月1日から施行されています(自営兼業制度の見直しについて|人事院)。
人事院は、今般、国家公務員の自営兼業制度について、新たに「職員の有する知識・技能をいかした事業」及び「社会貢献に資する事業」を承認可能とするなどの見直しを行いました。
それまで自営の兼業として承認できたのは、不動産等賃貸・太陽光電気販売・農業等(家業を継承した場合のみ)でした。 そこに2つ加わった形です。
典型例に入っています。 人事院のQ&Aに、こう書かれています。
「職員が有する知識・技能をいかした兼業」の典型例としては、自ら制作した物品(ハンドメイド品)、絵画、写真、音楽等をインターネット等を通じて個人向けに販売することや、スポーツや芸術の教室を開催して自ら指導を行うこと、出版社を通さずに自費出版をすることなどが挙げられます。
「写真」と明記されています。
ただし、書かれているのは「インターネット等を通じて個人向けに販売すること」です。自分で撮った写真を、作品として売るという形です。
もうひとつ、「芸術の教室を開催して自ら指導を行うこと」も典型例です。 写真教室は、こちらに近いと思われます。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
同じQ&Aの、典型例が挙げられる直前に、こう書かれています。
例えば、アプリ等に登録して定型化されたサービスを個人として提供するような形態の事業や、安く仕入れた商品を何らの付加価値を付与せずそのまま高く売ることで利益を得る事業については、今回の見直しにより承認可能とする事業としては想定していません。
「アプリ等に登録して定型化されたサービスを個人として提供する」。
出張撮影のマッチングサイトに登録して、決められた料金体系で撮影を受ける。その形は、ここに当たると読むのが自然です。
わたしたちが調べた範囲でも、各サービスの形はこうなっています。
| 料金の決まり方 | |
|---|---|
| fotowa | 決まっている(1時間の基準報酬) |
| くらしのマーケット | 自分で設定(手数料20%) |
| ラブグラフ | ランクに応じて変動 |
登録して、その仕組みの中で受ける形です。 各サービスの条件はカメラマンの登録サイトはどれ?にまとめました。
「写真だから認められる」ではありません。「どういう形で提供するか」で分かれています。
なお、Q&Aには個別に判断されるとも明記されています。
承認の可否は承認基準に照らして個別に判断されることとなるため、承認権者と事前に十分御相談いただく必要があります。 こうした典型的なケースに該当しない事業については、より一層、丁寧な御相談をいただく必要があります。
ここで判断を止めて、必ず所属先に相談してください。
※本記事は公開されている資料を整理したものです。制度は変わります。必ずご自身で最新の要件を確認してください。
承認基準が新しく設けられています(自営兼業制度の見直しについて(概要))。
事業内容の確認として、2つ。
1. 所得税法第229条に規定する開業届を提出して行うこと
2. 事業計画書等(事業の目的、業務内容、営業日・時間、収入の予定年額等を記載)を作成して行うこと
そのうえで、3つ。
承認は各府省が行います。
開業届が要るというのは、実務としては大きいところです。副業の税金の扱いは副業カメラマンの確定申告は20万円から?にまとめました。
一概に否定されてはいませんが、慎重に判断されると書かれています。
ブログへの投稿や動画の配信によって広告収入を得る事業についても、「自営」の形態で行うことが一概に否定されるものではありません。
ただし、こう続きます。
万が一、記事や動画内で不適切な記載・発言や、信用失墜につながるような記載・発言があった場合に、それらが切り抜かれ、短期間のうちに急激に拡散するおそれがあるなどのリスクがあることから、公務の信頼性の確保の観点から、承認の判断が慎重に行われることとなります。
承認を得られる場合においても、組織の肩書きを用いてはいけないなど、一定の制限を課した形での承認が行われる場合もあり得ます。
写真をSNSで発信して仕事にする形を考えている場合、ここも関わってきます。
同じではありません。
ここまでは国家公務員の制度です。人事院が所管しています。
地方公務員は地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)によります。運用は各自治体の規則で定められていて、内容が異なります。
国の制度がこう変わったから自分もできる、とはなりません。 必ずご自身の自治体の規則と、所属先の担当にご確認ください。
制度の中で副業として行うのとは別に、辞めて始めるという道があります。
フォトグラファーの学校の卒業生に、行政職の公務員からカメラマンになった方がいます。
行政職の公務員から転じた方のインタビュー(約9分)
「できて当たり前・怒られるだけ」の仕事から、「ありがとうをいただく数が増えた」と話しています。
辞めずに準備だけ進める方法もあります。手順は公式メールマガジンの第3部で説明しています。
写真を仕事にするまでの手順は、公式メールマガジンで配信しています。撮り方・仕事のありか・値段の決め方を、曜日ごとに分けて隔日でお届けします。登録はメールアドレスだけです。
実際に行政職の公務員から転じた方が、何が変わったかを話しています。元・公務員が撮る側になって変わったのは「ありがとうの数」にまとめました。
※制度は変わります。手続きの前に、必ずご自身で最新の要件を確認し、所属先にご相談ください。
副業が職場に知られる仕組みは副業が会社にバレない方法は?、始めるかどうかの判断は「カメラマンはやめとけ」は本当?にまとめています。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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