「カメラマン やめとけ」で検索すると、現役の人が書いた厳しい記事が並びます。読むと、書かれていることはどれも事実です。
ただし、そこで語られているのは専業のフリーランスとして生活していく場合の話です。会社を辞めずに副業として撮影する場合とは、リスクの形がまったく違います。
この記事では「やめとけ」と言われる理由を先に認めたうえで、どこからが自分の話でどこからが違うのかを分けて説明します。
実際に語られている理由を挙げます。どれも作り話ではありません。
収入が安定しない
撮影の依頼は季節と行事に左右されます。七五三は秋、ウェディングは春と秋。閑散期には仕事がない月もあります。会社員のように毎月同じ額が入る仕事ではありません。
体力を使う
機材を担いで移動し、屈んだり走ったりしながら撮ります。ストロボやスタンドを持てば、かなりの重さになります。年齢とともにきつくなったという声は、実際に多くあります。
機材にお金が出ていく
本体、レンズ、ストロボ、予備のバッテリー、保管用の機材。稼いだ分が機材に消えていく状態は起こりやすく、貯金がないまま年数が過ぎることがあります。
下積みが長い
アシスタントから始める道では、薄給の期間が数年続きます。その間に生活が回らず、離れていく人がいます。
撮る技術と、仕事を取ることは別
腕が上がっても依頼が来るとは限りません。ここでつまずく人がいちばん多いところです。

体感の話だけでは判断できないので、公的な統計を見ます。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に、「商業カメラマン」の数字があります(商業カメラマン|job tag)。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 就業者数 | 69,170人(令和2年 国勢調査) |
| 有効求人倍率 | 0.37(令和7年度) |
| 自営・フリーランスの割合 | 85.5% |
| 平均年収 | 492.2万円(令和7年 賃金構造基本統計調査) |
有効求人倍率0.37。 1件の求人に、おおよそ2.7人という計算です。就職の口は、実際に狭い。
ここまでは「やめとけ」を支える数字です。
ただし、同じ資料に85.5%という数字があります。 雇われている人のほうが少数派で、8割以上は自分で仕事を取っています。
つまり、就職が狭いことと、この仕事ができないことは、別の話です。 詳しくはカメラマンとフォトグラファーの違いは?にまとめました。
※数字は更新されます。必ずご自身で最新のものを確認してください。
実際に書かれているものを読むと、「稼げないから」だけではありませんでした。
ブライダルを10年以上撮ってきた方が、辞めた理由をこう書いています(婚礼撮影(ブライダルカメラマン)を辞めた理由。)。
気力、体力共に、お二人に寄り添えなくなったから
同じ記事に、こうもあります。
基本的には素晴らしい仕事だと思う
仕事そのものを否定していません。
理不尽な要求の例も挙げられています。
快晴のガーデンで写真を撮りたかったのに雨なんて困る。晴れにしてほしい
天気を変えろ、という要求です。 技術では解決できません。
「やめとけ」の中身を追っていくと、ひとつの構造に行き当たります。
現役のカメラマンが、金額を公開しています(やめとけ、カメラマンは)。
お客さんが式場へ支払ってる額は数十万ですが、カメラマンの手元に入るギャランティって1〜3万位なんですよ
そして、同じ人がこう続けます。
私はお客さんから直接結婚式の撮影を依頼頂いたら11万(税込)でご案内してます
同じ撮影で、1〜3万と11万です。
違いは腕ではありません。誰から受けているかです。
式場や撮影会社の下請けで入るか、ご本人から直接受けるか。それだけで3倍から10倍変わります。
この方は、割に合わない理由もはっきり書いています。
撮影の難易度と報酬金額が全く合わない
ギャラ安いけど要望は全て聞いてね? と言われるのが普通ですし、当たり前です
「カメラマンはやめとけ」の多くは、この下請けの話をしています。
わたしたちが公開口コミ1,978件を数えたときも、同じ方向の結果が出ました。値段に触れた口コミは6件しかなく、「安かった」と褒めたものは1件もありませんでした(出張撮影で選ばれる人は何が違う?)。
安さで選ばれているのではない。 だとすれば、安く受け続ける理由もありません。
上に挙げたことは、専業として食べていく道で起きる問題です。
検索上位に出てくる体験談を読むと、書き手の状況がはっきりしています。専門学校を出てスタジオに入り、アシスタントを経て独立する。この道を進んだ人が、収入の不安定さと体力の限界に直面して書いています。
一方で、次のような始め方があります。
| 専業フリーランス | 副業として始める | |
|---|---|---|
| 収入 | 撮影だけで生活する | 本業の給与がある |
| 閑散期 | 収入がゼロになる | 給与は変わらない |
| 機材 | 全部そろえる必要がある | 撮る分野の分だけでよい |
| 失敗したとき | 生活が止まる | 元の生活が続く |
| 時間 | 平日も土日も撮る | 週末や平日の夕方だけ |
「やめとけ」の理由の大半は、収入が撮影だけに依存していることから来ています。 本業がある状態で始めれば、その依存が生まれません。
分けて考えると言っても、副業なら全部が消えるわけではありません。次の2つは残ります。
体力は使う
1件の撮影は1時間前後ですが、移動と編集を含めれば半日仕事になります。土日に2件入れると、休んだ感覚は残りません。
企業の撮影まで受けている卒業生も、一番つらいこととして体力を挙げています。
辛いのは、夏が暑いのと冬が寒いのと。外撮影がとにかく体力面で辛い。動画と写真両方の時とか、持ち物がめちゃくちゃ多くて、とにかく機材も重いし、暑いし寒い。
— 2人の子を育てているシングルマザーの卒業生
2人の子を育てながら撮影している方のインタビュー(約11分)
出張撮影は屋外が中心です。天気と気温をそのまま受けるのが、この仕事の実際です。
技術と集客は別という構造も残る
腕が上がっても依頼は自動では来ません。むしろ副業は使える時間が少ないぶん、依頼を受ける仕組みを先に作る必要があります。
この2つは、始める前に知っておいたほうがいい部分です。
副業として始める場合の稼ぎ方と金額は、副業カメラマンは稼げる?稼ぎ方3つと始める順番にまとめました。この記事は「やめとけ」と言われる理由を扱っています。始め方はそちらです。
「やめとけ」と言われる仕事で、続いている人には共通点があります。
撮る相手を絞っている
「何でも撮ります」ではなく、七五三、お宮参り、家族写真といった分野を決めています。絞ると依頼者が選びやすくなり、機材も学ぶ内容も定まります。
一度依頼した人が、また頼んでいる
子どもの成長記録は毎年続きます。1年目に撮った家族が翌年も頼む状態を作れると、集客に使う時間が減ります。
本業を持ちながら夫婦で出張撮影をしている卒業生は、続けている理由をこう話しています。
リピーターさんになってくれる。成長したお子さんの姿を見れるのが、本当に嬉しいし、感動的ですね。
— 本業を持ちながら夫婦で出張撮影をしている卒業生
同じ家族を毎年撮る形になると、集客の負担と、続ける動機が同時に解決します。
単価を自分で決めている
安く受け続けると、件数を増やさないと収入が上がらず、体力が先に尽きます。価格の決め方はカメラマンの年収は420万円?で説明しています。
未経験から始める手順、広告費をかけずに依頼を受ける方法、実際にいくらになるのかの収益シミュレーション。全4部構成の無料オンライン講座で公開しています。
登録は無料です。メールアドレスだけで受け取れます。
正直に書きます。次に当てはまるなら、慎重に考えたほうがいい部分です。
逆に、「センスがない」は理由になりません。撮影は決まった設定と手順で再現できます。

未経験から始めても遅くないですか?
年齢の上限はありません。カメラの電源の入れ方から始めた80歳の方もいます。就職ルートは年齢が影響しますが、個人で依頼を受ける道に制限はありません。
専門学校を出ていないと不利ですか?
家族写真や出張撮影の分野では、依頼者が学歴を確認することはまずありません。詳しくはカメラマンに資格は必要?で説明しています。
「食えない」と言われますが、実際どうですか?
撮影だけで生活する前提なら、確かに厳しい面があります。本業を持ったまま月数万円から始める形なら、前提が変わります。
会社を辞めてから始めたほうが集中できませんか?
逆をおすすめします。収入が途切れると、単価の低い仕事でも断れなくなります。安く受け続けると、そこから抜けにくくなります。
副業でも会社に知られませんか?
撮影の報酬は事業所得または雑所得なので、住民税を普通徴収にできます。副業が会社にバレない方法は?で仕組みを説明しています。
やめるかどうかを決める前に、自分がどの道の話をしているのかを分けてください。専業か副業か、下請けか直接か。答えが変わります。
関連記事:カメラマンになるには?未経験・社会人からの5つのルート
※この記事で紹介した事例は個人のものであり、同様の成果を保証するものではありません。
※資格・税制などの制度は変わることがあります。手続きの前に、所管する機関の最新の案内を確認してください。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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