フォレスト出版の山野井です。
2019年に弊社から出した『副業するならカメラマン』(小椋翔 著)は、発売当時、プロのカメラマンの方々から強い批判を受けました。
「副業するならカメラマン 炎上」と検索してこのページに来られた方が多いと思います。書店で見かけて、あるいはどこかで名前を聞いて、気になって調べた方です。出てくるのは批判記事ばかりで、版元が何か言っているページがありません。
ここで説明します。
先に申し上げると、私はこの本が出た当時、フォレスト出版にいませんでした。 現場で何が起きたかを見てはいません。ですので、当時を知る人から聞いたことと、本に実際に書いてあることをもとに書きます。
批判の中心にあったのは、本の帯に書かれた言葉です。
1日2時間の仕事で、テクニックもセンスも不要で年収1000万円
これに「たった90日で稼げる」という趣旨の文言が並びました(出典:副業するならカメラマン|フォレスト出版。2026年8月19日時点)。
「テクニックもセンスも不要」。 ここです。
写真を生業にしてきた方からすれば、自分が何年もかけて積み上げてきたものを「不要」と言われたに等しい。本を読まずにこの一行を見れば、そう受け取るのが自然です。
技術は要らない、マーケティングさえできればいい。そういう本だと読める。だから怒りが向きました。
書いてありません。
目次で確かめられます。 2026年の増補改訂版では、第4章がまるごと撮影技術です(構図・光・背景、笑顔の引き出し方、Lightroom、仕上げ方)。全8章の中身は『副業するならカメラマン』の中身に並べました。この記事は炎上の経緯を、そちらは本の中身を扱っています。
これは弁解ではなく、読めば分かることです。本書が繰り返し言っているのは、技術が不要だということではなく、技術を身につける順番についてです。
多くの人が、頭の中でこの順番を描いています。
スキルを磨く → 上達する → 仕事が来る → 収入になる
しかし、この道筋で自然に稼げるようになる人は、ほとんどいません。上手くなって作品を発表し、それが評価されて売れていく。芸術家の個展のような形です。起きないわけではありませんが、まず起きません。
本書が示しているのは、逆の順番です。
需要を見つける → 仕事を取る → その仕事に必要なスキルを身につける → 提供する → リピートが生まれる
「必要なだけの技術を、必要になってから身につける」。これが本書の主張です。技術を否定してはいません。
小椋さんがよく使う言い方があります。
お腹が空いている人を見つけてから、おにぎりを売りに行く
いきなりおにぎりを売り歩いても売れません。お腹を空かせた人がいる場所に持っていくから売れる。
お昼のオフィス街に行くと、キッチンカーが並んでいます。 あそこにいる理由は明快で、そこに空腹の人がいるからです。商品の質を上げてから場所を探したのではなく、場所が先にあります。
この構造を分かっているかどうかで、稼げるかどうかが変わる。本書はそう説明しています。
順番を知らないまま技術だけを積むと、講座から講座へ渡り歩き、資格ばかりが増えていく状態になりやすい。技術は身についているのに仕事がない、という一番もったいない形です。
この順番については、無料のオンライン講座の第1部でくわしく説明しています。
「必要な人が、必要とするだけ」というのが本書の答えです。
家族写真を頼む方が求めているものを考えてみます。
3歳7か月の、その日のその子です。
その年齢のその瞬間の、自然な表情。それがきれいに残っていること。写真を見返したときに「ああ、この頃こんなことがあったね」と話が始まること。求められているのは、そこです。
現実にはあり得ないような幻想的な一枚を求めているわけではありません。もしそれが求められる仕事なら、そのための技術が要ります。でも家族写真では、求められているものが違います。
だから、その需要を満たすだけの撮影技術を確実に持っていれば、需要と供給は成り立つ。過剰な技術が価値にならないという意味ではなく、お客さまが求める範囲を外して積み上げても、仕事にはつながらないという話です。
小椋さんは「写真は料理と同じで、レシピがある」という言い方をします。これも技術の軽視と受け取られやすい言葉ですが、意味は同じ構造です。
レシピサイトは、「これが食べたい」という人に対して手順を出しています。求めているものが先にあって、そこへ最短で届くための手順が用意されている。
写真も同じで、「こう写したい」という結果に対して、設定と手順があります。星空を撮るならシャッタースピードとISO感度の数字が決まっている。だから、カメラの電源の入れ方から始めた80代の方でも撮れるようになります。
手順があることと、技術が要らないことは、別のことです。
炎上について、私は「誤解だから仕方がない」とは思っていません。
あの一行が、そう読まれる書き方だったのは事実です。 本の中身は順番の話をしているのに、表に出た言葉は技術の否定に見えた。読み手の落ち度ではありません。
2026年に出した増補改訂版では、当時から変わった市場の状況や集客の方法を大きく加筆しています。ただ、根っこにある主張は変わっていません。需要を見つけることが先で、技術はそのあとについてくる。
このサイトでも、その順番で記事を書いています。簡単だという書き方はしません。何がどこまでできて、どこに時間がかかるのかを、そのまま書くことを方針にしています。
※本文中の収入に関する記述は、書籍の内容および個人の事例です。成果を保証するものではありません。
需要を見つけてから技術を身につける、という順番の実際のところは、無料のオンライン講座で小椋さん本人が説明しています。全4部で、収益の試算まで公開しています。登録はメールアドレスだけです。
小椋さんがこの順番をどう教えているかは、フォトグラファーの学校とは?にまとめました。著者本人の経歴は小椋翔とは?をご覧ください。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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