「カメラマン 未経験」で検索すると、求人サイトがずらりと並びます。件数も数百から数千件と表示されるので、未経験でも入れる仕事はたくさんあるように見えます。
結論から言うと、未経験可の求人は実在します。ただし中身は思っているより偏っています。
この記事では、実際に求人サイトを開いて中身を数えました。そのうえで、就職以外の始め方も並べて説明します。
なれます。カメラマンには国家資格も必須の学歴もないので、採用する会社が「未経験可」と決めれば、その日から未経験者にも門は開きます。
ただし、入り口によって次の3つが大きく変わります。
| 中身 | |
|---|---|
| 何を撮るか | 自分では選べない。会社が受けた案件を撮る |
| いつ撮れるか | 最初の半年〜数年はアシスタントということが多い |
| いくらになるか | 月給制。件数を増やしても収入は変わらない |
「未経験可」は「すぐにカメラを持てる」という意味ではありません。ここを混同すると、入ってから話が違うということになります。
求人サイトの数字を確かめました。求人ボックスの「フォトグラファー 未経験歓迎の仕事 東京都」には1,221件が掲載されています(出典:求人ボックス フォトグラファー 未経験歓迎の仕事 東京都。2026年8月16日時点)。30日以内の新着だけでも534件あります。
十分な数に見えます。そこで1ページ目に出てきた24件を、実際に1件ずつ数えました。
| 中身 | 件数 |
|---|---|
| ブライダル・ウェディングの撮影 | 6件 |
| スタジオ(七五三・成人式など)の撮影 | 3件 |
| アシスタント | 3件 |
| 撮影以外の仕事(接客・運営・営業・コーディネート・管理) | 4件 |
| 撮影と関係のない求人 | 5件 |
| その他(イベント・物流系との兼務など) | 3件 |
最後の5件は、実際にこう並んでいました。警備/配送ドライバー/空港のグランドハンドリング/企画営業/プロジェクトの進行管理。
撮影とは関係のない求人です。求人サイトが「未経験歓迎」というキーワードで機械的に集めているため、こうなります。掲載件数をそのまま「カメラマンになれる求人の数」と読むと、実態より多く見積もることになります。
数えた結果から、未経験で採用される仕事は次の3つにほぼ集まります。
1. ブライダル・ウェディング
一番多い入り口です。結婚式場やフォトウェディングの会社が、研修つきで採用しています。撮る内容が毎回ほぼ同じなので、教える側も型を渡しやすいからです。
土日祝が繁忙で、平日が休みになります。ここは生活の形が変わる部分なので、応募前に確認してください。
2. スタジオ(七五三・お宮参り・成人式)
こちらも研修があります。ただし求人票をよく読むと、撮影と接客がセットになっていることがほとんどです。衣装の案内、写真の販売、アルバム制作の説明まで含まれます。
「撮る仕事」を想像して入ると、想像と違うと感じるのはこの部分です。
3. アシスタント
プロのカメラマンや制作会社につく形です。機材の運搬、照明の設営、データの整理から始まります。カメラを持たせてもらえるまでには時間がかかります。
その代わり、現場の進み方を丸ごと覚えられます。独立を前提にするなら、この経験は後で効いてきます。
どの分野を選ぶかで、必要な経験も収入の形も変わります。分野ごとの違いはフォトグラファーになるには?で比べています。

求人ボックスの集計では、東京都のフォトグラファー未経験求人の平均月給は27.5万円です。カメラマン全体では次のようになっています(出典:求人ボックス 給料ナビ カメラマン。2026年7月21日更新)。
| 雇用形態 | 水準 |
|---|---|
| 正社員 | 平均年収420万円(ボリュームゾーンは313〜372万円) |
| 初任給 | 月24万円程度 |
| アルバイト・パート | 平均時給1,086円 |
| 派遣社員 | 平均時給1,700円 |
未経験で入ると、まず313〜372万円のゾーンから始まることになります。地域差もあり、東京都が485万円、大阪府が399万円です。
数字の詳しい読み方はカメラマンの年収は420万円?で説明しています。
未経験から始める手順、広告費をかけずに依頼を受ける方法、実際にいくらになるのかの収益シミュレーション。全4部構成の無料オンライン講座で公開しています。
登録は無料です。メールアドレスだけで受け取れます。
あります。むしろ、未経験から写真で収入を得ている人の多くは、就職していません。
依頼を直接受ける形です。 家族写真やお宮参りの出張撮影を、1件2万円前後で受けます。会社を辞める必要がないので、いまの仕事を続けながら試せます。
『副業するならカメラマン』の著者で、フォトグラファーの学校 校長の小椋翔さんも、写真の経験がないところから始めています。中古3万円のカメラで写真館を開業しました。 技術を身につけてから仕事を探したのではなく、需要のある場所を見つけてから撮り方を覚えた形です。
同校の卒業生にも、カメラに触ったことがない状態から始めた人がいます。助産師をしながら家族写真を撮っている方は、当時をこう振り返っています。
カメラに関しては、もう全然、本当に触ったこともないし、できれば関わりたくないというか、私じゃない人がやればいいなって思ってたんですよね
いまはご自身の助産院の事業のひとつとして、撮影を組み込んでいます。
元・行政職の公務員から人物撮影に移った方は、変わったことをこう話しています。
ありがとうをいただく数が増えたことですね
一方で、独学のまま止まってしまう例も多くあります。 平日は会社員として働き、土日に出張撮影をしている方は、始めた頃をこう振り返っています。
SNSとかでポートレートとか無償で撮影してたりとかしてたんですけど、無償でやってたんで、仕事として繋がってなかった
撮る技術と、依頼を受ける仕組みは別のものです。技術だけを磨いても、依頼は来ません。 ここが未経験からの分かれ目になります。

就職しない場合の順番です。
1. 撮る相手を1つに決める
家族写真、七五三、お宮参り、ペット。どれでもかまいませんが、最初に1つに絞ります。 何でも撮りますという人には、依頼する理由が生まれません。
2. 知り合いを無料か格安で撮る
作例を作る段階です。ここは収入になりません。ただし次の段階で必ず必要になるので、飛ばせません。
3. 有料で受ける
作例が10件ほどたまったら、金額をつけます。ここを先延ばしにすると、無料で撮り続ける状態が固定されます。前述の会社員の方が止まっていたのは、まさにこの段階です。
4. 依頼が来る場所に置く
出張撮影のプラットフォームに登録するか、SNSから受けます。どこで受けられるかは撮影の仕事はどこで受ける?にまとめています。
前出の助産師の方の言葉を借りるなら、こうなります。
まずはそのスタートラインに立つっていうのがすごい大事
就職を選ぶ場合、求人票で確認したい点が4つあります。
「撮影」と書いてあるか
「フォトスタッフ」「フォト事業運営」といった書き方の場合、撮影が含まれないことがあります。仕事内容の欄に撮影の記載があるかを見てください。
カメラを持つまでの期間
アシスタント期間が何年かは、求人票に書かれていないことがあります。面接で聞いてかまいません。
撮った写真を作品として使えるか
会社が撮影した写真の権利は会社にあります。将来独立するつもりなら、実績として出せるかどうかは事前に確認しておく価値があります。 自分の作例のそろえ方はカメラマンのポートフォリオは何枚必要?にまとめています。
土日祝の扱い
ブライダルとスタジオは土日祝が本番です。家族の生活と合うかを先に考えてください。
未経験からカメラマンになる方法はありますか?
あります。就職する道と、依頼を直接受ける道の2つです。就職ではブライダル・スタジオ・アシスタントが主な入り口になります。詳しくはカメラマンになるには?で説明しています。
30代・40代の未経験でも採用されますか?
ブライダルとスタジオは若手を想定した求人が多く、年齢が上がるほど採用の枠は狭くなります。ただし依頼を直接受ける道に年齢制限はありません。小椋さんによると、「フォトグラファーの学校」にはカメラの電源を入れたことがない80歳の方も受講しています。
資格や専門学校は必要ですか?
必要ありません。カメラマンに国家資格はなく、求人票でも学歴不問のものが多く見られます。カメラマンに資格は必要?で整理しています。
機材はいくら必要ですか?
最初から高額な機材は必要ありません。小椋さんは中古3万円のカメラで開業しています。機材の価格と収入は比例しません。
アルバイトから入るのはどうですか?
平均時給は1,086円で、生活費をまかなう水準ではありません。ただし現場を知る手段としては有効です。本業を続けながら試すなら、副業として依頼を受けるほうが時間あたりの金額は大きくなります。
未経験だと「やめとけ」と言われますが本当ですか?
専業として飛び込む場合と、副業として始める場合で話が変わります。「カメラマンはやめとけ」は本当?で分けて説明しています。
未経験であることは、入り口を選ぶ理由にはなりますが、始められない理由にはなりません。
関連記事:カメラマンになるには?/副業カメラマンは稼げる?/カメラマンになる
※求人件数と給与は2026年8月16日時点で確認した数字です。求人の掲載条件は日々変わるため、応募の前に各求人サイトで最新の内容をご確認ください。
※卒業生の発言はインタビュー動画からの引用です。個人の事例であり、同様の成果を保証するものではありません。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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