「フリーランス カメラマン」で検索すると、個人のインタビューか、カメラマン募集のページばかりが出てきます。稼げている人の話は読めますが、全体としてどうなのかが分かりません。
この記事では、国が実施した調査の数字を出発点にします。そのうえで、就職した場合との違い、独立の前に決めておくこと、手続きと守られる仕組みまで並べます。
結論を先に書くと、いきなり独立することは勧めません。 理由も含めて説明します。
写真に限った公的な統計はありません。ただしフリーランス全体の調査があります。
内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁による調査で、回答者は2,119人です(出典:令和4年度フリーランス実態調査結果。令和4年8月実施)。
| 直近1年間の所得 | 割合 |
|---|---|
| 100万円未満 | 14.1% |
| 100〜200万円未満 | 12.6% |
| 200〜300万円未満 | 12.7% |
| 300〜400万円未満 | 12.6% |
| 400〜500万円未満 | 9.5% |
| 500〜700万円未満 | 11.1% |
| 700〜1,000万円未満 | 7.4% |
| 1,000万円以上 | 3.4% |
| わからない・答えたくない | 16.4% |
ここで大事なのは「所得」だという点です。売上ではありません。調査は「売上高から必要な経費等を差し引いた額」と定義しています。
答えなかった16.4%を除いて計算すると、300万円未満が約47%です。おおよそ半数がこの範囲に入ります。1,000万円以上は約4%です。
もう1つ、75.5%が誰も雇っていません。 一人で完結している働き方が大多数だということです。

求人ボックスの集計では、カメラマンの平均年収は420万円です。ただしこの2つの数字は直接比べられません。
| 内容 | |
|---|---|
| 求人の420万円 | 給与。社会保険料は会社と折半。交通費や機材は会社持ち |
| 調査の所得 | 経費を引いたあとの額。機材も保険も自分で払う |
同じ「400万円」でも、手元に残る額と働き方の自由度がまったく違います。
フリーランス側の負担として、次のものが自分持ちになります。
一方で取れる側面もあります。単価を自分で決められること、件数を増やせば収入が上がること、撮る内容を選べること。会社員の給料は件数を増やしても変わりません。
収入の決まり方はカメラマンの年収は420万円?で分けて説明しています。
式は1つだけです。
収入 = 1件あたりの単価 × 月の件数
家族写真の出張撮影なら1件2万円前後が目安です。月10件で20万円、月20件で40万円。件数を積むには依頼が来ている必要があり、そこは写真の腕とは別の話になります。
単価の付け方は出張撮影の料金はどう決まる?、依頼の受け方は撮影の仕事はどこで受ける?にまとめています。
未経験から始める手順、広告費をかけずに依頼を受ける方法、実際にいくらになるのかの収益シミュレーション。全4部構成の無料オンライン講座で公開しています。
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勧めません。
『副業するならカメラマン』の著者で、フォトグラファーの学校 校長の小椋翔さんは、まず副業として始めることを勧めています。 理由は収入の出方です。
写真の仕事は、依頼が来るまでに時間がかかります。会社を辞めてから始めると、依頼が来ない期間の生活費が減っていきます。焦って単価を下げると、そこから戻せなくなります。
先ほどの調査で所得300万円未満が約半数だったことも、ここに関係します。独立できたかどうかではなく、依頼が安定して来る状態を作れたかどうかが分かれ目です。
順番としては、こうなります。
1. 本業を続けたまま、月2〜3件受ける
2. 依頼が途切れなくなる
3. 収入が本業に近づく
4. そこで初めて独立を考える
実際に、この順番で進めた人がいます。関西で会社員をしながら土日に出張撮影をしている方は、いまの状態をこう話しています。
毎週、土日、1日2件とかは依頼が入ってるんで、10日入ったとして、20件ぐらい
一方で、公務員から転向して人物撮影をしている方は、フリーランスになったあとの重さも率直に話しています。
フリーですから、全ては自分で責任を負わなきゃいけない。結果は自分で負わなきゃいけないという部分は、やっぱりプレッシャーですね
この2つは矛盾しません。 依頼が来る状態を作ってから移った人と、移ったあとに責任を引き受けている人の話です。順番が逆だと、両方が同時に来ます。
副業として始める手順は副業カメラマンは稼げる?にまとめています。

開業届
事業を始めてから1か月以内に税務署へ出します。提出は無料で、出さなくても罰則はありませんが、青色申告をするなら必要になります。
青色申告の承認申請
開業届とあわせて出します。帳簿をきちんと付けることが条件ですが、控除が受けられます。原則として開業から2か月以内が期限です。
確定申告
所得が出れば毎年必要です。会社を辞めた年は、給与所得と事業所得の両方を申告します。副業のうちの扱いは副業の確定申告20万円は売上じゃない?で説明しています。
国民健康保険・国民年金
退職後14日以内に市区町村で手続きします。会社員のときは会社が半分払っていた分が、全額自己負担になります。ここを見落とすと、独立初年度の資金計画が崩れます。
機材の扱い
高額な機材は、購入した年に全額を経費にできない場合があります(減価償却)。金額と処理の仕方は税務署か税理士に確認してください。
※税制と自治体の運用は変わることがあります。実際の手続きは、国税庁の案内を確認するか、税務署・税理士にご相談ください。
あります。2024年11月1日に「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されました。 発注する側に義務が課される法律です(出典:中小企業庁 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)。
主なものは2つです。
取引条件を明示すること
業務の内容、報酬の額、支払期日などを、書面などで直ちに示すことが発注者に義務づけられました。「あとで決めましょう」が通らなくなったということです。
報酬を60日以内に支払うこと
物品などを受け取った日から60日以内の、できる限り早い日に支払期日を設定し、その日までに支払う義務があります。
撮影の仕事では、納品したのに支払いが遅れる/条件が後から変わるというトラブルが起きがちです。この法律は、そこに歯止めをかけるものです。個人からの依頼ではなく、事業者からの発注が対象になります。
※法令の内容や運用は変わることがあります。実際の取引にあたっては、最新の情報を確認してください。
フリーランス法は、支払いを守ります。キャンセルは守りません。
納品したのに払われない、条件が後から変わる。そこには歯止めがかかりました。ですが「予定していた撮影がなくなった」ときにいくら受け取れるかは、法律ではなく各社の規定で決まります。
公開されている金額を並べます(各社の募集ページ、2026年8月〜9月時点)。
| 補償の内容 | |
|---|---|
| fotowa | 4日前まで0円/3日前〜前日5,000円/当日0:00以降10,000円 |
| えんフォト | 会社都合のとき、前日2,500円/当日5,000円 |
| フォトクリエイト | 雨天・天災による中止に報酬補償制度あり(金額は非公開) |
いちばん見ておくべきは、fotowaの「4日前まで0円」です。
1週間前に流れたら、受け取る額はゼロです。その日は予定を空けていて、他の依頼も断っています。
屋外の撮影を受けるなら、これは必ず起きます。 出張撮影は天気の影響をそのまま受けるからです。
だから、こう考えます。
3つ目は、フリーランスにしかできないことです。プラットフォーム経由では、規定を選べません。
フリーランスになっても、待っていて依頼は来ません。入口は大きく3つです。
出張撮影のプラットフォーム
登録すれば、集客をサービス側がやってくれます。最初の実績を作る場所としては早いです。
ただし手数料の幅が大きいので、受ける前に見ておいてください。
各社の条件はカメラマンの登録サイトはどれ?、報酬の決まり方はfotowaのカメラマン登録は?とふぉとるのカメラマンの報酬は?に整理しました。
SNSと紹介
時間はかかりますが、手数料がかからず、単価も自分で決められます。一度依頼した人が翌年も頼む形になれば、集客の負担が減ります。
法人からの発注
商品撮影、社員のプロフィール、イベント。単価が安定しやすい一方、実績と信用が要ります。ここが前述のフリーランス法の対象になります。
小椋さんの言い方を借りるなら、順番はこうです。
お腹が空いている人を見つけてから、おにぎりを売りに行く
フリーランスカメラマンの年収はいくらですか?
写真に限った統計はありません。フリーランス全体では、所得300万円未満が約半数です(令和4年度フリーランス実態調査)。ただしこれは経費を引いたあとの額で、売上ではありません。
日当や1件あたりの単価はいくらですか?
内容によって幅があります。家族写真の出張撮影なら1件2万円前後が目安です。ただし単価は自分で決めるもので、相場に合わせる義務はありません。考え方は出張撮影の料金はどう決まる?にまとめています。
確定申告は必要ですか?
必要です。フリーランスとして所得があれば、金額にかかわらず申告の対象になります。会社を辞めた年は給与所得とあわせて申告します。
メリットは何ですか?
単価と件数を自分で決められること、撮る内容を選べること、時間の使い方が自由なことです。件数を増やせば収入が上がります。
デメリットは何ですか?
収入が安定しないこと、社会保険の負担が増えること、機材も営業も自分持ちになること。調査では75.5%が誰も雇っておらず、一人で全部を抱える働き方が大多数です。
未経験からフリーランスになれますか?
なれますが、いきなりは勧めません。副業として依頼を受けられる状態を作ってから移るほうが確実です。未経験からの入り方はカメラマンは未経験でもなれる?にまとめています。
会社員とどちらが得ですか?
比べる軸が違います。求人の平均年収420万円は給与で、社会保険は労使折半です。フリーランスの所得は経費を引いたあとの額で、保険も機材も自己負担です。同じ金額でも手元に残る額が変わります。
フリーランスになること自体は、書類を出せば今日からできます。難しいのは、依頼が途切れない状態を作ることです。
関連記事:副業カメラマンは稼げる?/カメラマンの年収は420万円?/お金のこと
※卒業生の発言はインタビュー動画からの引用です。個人の事例であり、同様の成果を保証するものではありません。
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登録は無料です。メールアドレスだけで受け取れます。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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