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カメラマンに保険は必要?起こりうる事故と補償の中身

新緑と湖のリフレクション

出張撮影を始めるとき、保険の話はどこにも出てきません。

機材の選び方や撮り方は説明されますが、「壊したらどうするか」は誰も教えてくれないと思います。

先に、何が起こりうるかを並べます。

どんな事故が起こりますか?

撮影の現場で、現実に起こりうるものです。

対物三脚を倒して、式場の装花や備品を壊す
対人後ろ歩きで参列者にぶつかる。機材が人に当たる
受託物お客さまから預かった衣装や小物を汚す・壊す
データカードが壊れて、撮った写真が渡せない
納期レタッチが間に合わず、納品が大幅に遅れる
著作権使ってはいけない素材を納品物に入れてしまう

最初の2つは、金額が読めません。 相手の持ち物や、相手の体に関わるからです。

4つ目は、写真の仕事に特有です。 撮り直しができません。七五三も結婚式も、その日は二度と来ません。

いちばん怖いのは、どれですか?

データが渡せなくなることだと思います。

対物や対人は、額が大きくても「弁償する」という道があります。撮れなかった一日は、お金では戻せません。

だから、備え方も分かれます。

  • お金で解決できるもの … 保険で備える
  • お金で解決できないもの … 起きないように運用で防ぐ

データは後者です。カードを2枚差して同時に書き込む、その日のうちに2か所へ保存する。 保険より先に、これをやることになります。

フリーランス協会の保険は、何が付いていますか?

フリーランス向けの賠償責任保険で、よく使われているのがこれです(会員特典|フリーランス協会)。

一般会員に「自動付帯」と書かれています。

補償の対象として挙げられているのは、次のとおりです。

業務遂行中の対物・対人の事故/情報漏えい/納品物の瑕疵/著作権侵害/納期遅延/受託財物の補償

支払限度額も公開されています。

種類一連あたり期間中
業務遂行中1億円無制限
業務結果(PL責任)1億円10億円
受託財物1,000万円10億円
業務過誤1,000万円10億円

自己負担額(免責)については、こう書かれています。

0円(なし)※期間中、初回は0円ですが、2回目以降は5万円となります。

引受は「大手保険会社3社による共同保険」と記載されています。

「納期遅延」と「受託財物」が入っているのが、写真の仕事では効きます。 預かった衣装を汚した、納品が遅れた。どちらも現実に起こります。

※補償の範囲や金額は変わります。加入の前に必ず最新の約款と条件をご確認ください。 個別の可否は保険会社にご相談ください。

機材が壊れたら、出ますか?

自分の機材は、賠償責任保険では出ません。

賠償責任保険は「他人に与えた損害」に備えるものです。自分のカメラを落として壊しても、対象外です。

自分の機材に備えるなら、動産総合保険やカメラの保険という別の商品になります。分けて考えてください。

始めたばかりなら、優先順位は明確です。

1. 他人に与える損害(賠償責任保険)
2. データを失わないための運用(保険ではなく手順)
3. 自分の機材(後回しでよい)

1と3を混同して「保険に入った」と思っていると、いちばん高くつくところが空いたままになります。

依頼元が用意している場合はありますか?

あります。 撮影サービスに登録して受ける場合、そのサービス側で保険を用意していることがあります。

ただし、確認しないと分かりません。

登録するとき、この3つを聞いてください。

1. 保険はあるか(誰が入っているか)
2. どこまで補償されるか(対物・対人・受託物・納期)
3. 自己負担はいくらか

直接いただく仕事では、当然ながら自分で備えることになります。 各サービスの条件はカメラマンの登録サイトはどれ?にまとめました。

業務委託で受けるときの契約上の確認事項はカメラマンの業務委託とは?にまとめています。

保険より先に、やることはありますか?

あります。事故そのものを減らすほうが先です。

服装 三脚や照明に引っかけない格好にする。現役のカメラマンが「照明機材や三脚に服を引っかけて倒さないためのリスク管理」と書いています(カメラマンの服装は?)。

立ち位置 子どもを撮る日は座る時間が長くなります。カメラを振り回さない。

許可 撮ってはいけない場所で撮らない。神社の撮影許可公園の撮影許可は、主体が逆になります。

バックアップ カード2枚。その日のうちに2か所へ。

契約 やり直しの範囲とキャンセル時の扱いを、受ける前に決めておく。

写真を仕事にするまでの手順は、公式メールマガジンで配信しています。撮り方・仕事のありか・値段の決め方を、曜日ごとに分けて隔日でお届けします。登録はメールアドレスだけです。

いつ入りますか?

最初の1件を受けると決めた時点だと思います。

理由は2つあります。

1つ目。 練習で撮っているうちは、賠償の相手がいません。お金をいただいた瞬間に、責任の性質が変わります。

2つ目。 事故は経験の量と関係なく起こります。むしろ最初の数件のほうが、段取りに慣れていない分だけ起こりやすい。

「稼げるようになったら入る」だと、順番が逆です。

最初の1件を受けるまでの流れは、公式メールマガジンの第3部で説明しています。

この記事のまとめ

  • 撮影で起こりうるのは対物・対人・受託物・データ・納期・著作権
  • いちばん怖いのはデータ。 その日は二度と来ないので、お金では戻せない
  • データは保険ではなく運用(カード2枚・2か所保存)で防ぐ
  • フリーランス協会の賠償責任保険は一般会員に自動付帯
  • 補償に納期遅延受託財物が入っている。写真の仕事では効く
  • 支払限度額は業務遂行中1億円/受託財物1,000万円。免責は初回0円、2回目以降5万円
  • 自分の機材は賠償責任保険では出ない。 別の商品になる
  • 優先順位は①他人への損害 ②データの運用 ③自分の機材
  • 登録して受けるなら、保険の有無・範囲・自己負担を先に聞く
  • 入るのは最初の1件を受けると決めた時点

※補償内容や金額は変わります。加入の前に必ずご自身で最新の要件を確認してください。

執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)

柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。

監修:小椋 翔フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)

一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。

この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。

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このサイトの監修者の本

『増補改訂版 副業するならカメラマン』小椋翔・著(フォレスト出版)

『増補改訂版 副業するならカメラマン』小椋翔・著(フォレスト出版/2026年2月)
このサイトで扱っている「需要を先に見つける」という考え方は、この本がもとになっています。