カメラマンになる方法を調べると、専門学校や大学の案内ばかりが出てきます。18歳で進路を決める人には合っていますが、仕事を持ちながら写真を仕事にしたい人には、そのまま当てはまりません。
学校に通わなくてもカメラマンにはなれます。資格も学歴も要りません。この記事では、5つのルートを比べたうえで、未経験から何をどの順番でやればいいのかを説明します。
必要なものは、次の3つだけです。
この中で一番むずかしいのは3つ目です。多くの人が1つ目と2つ目に時間をかけて、3つ目に手をつけないまま止まります。
資格は要りません。カメラマンを名乗るための国家資格は存在せず、明日から名乗れます。学歴も問われません。依頼する側が見ているのは、卒業証書ではなく、これまでに撮った写真です。

| ルート | 期間の目安 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 専門学校・大学 | 2〜4年 | 200〜500万円 | 高校生・時間が取れる人 |
| スタジオ等に就職 | 就職後2〜5年 | なし(給料が出る) | 20代・転職できる人 |
| アシスタントにつく | 2〜5年 | なし(薄給) | 業界の作法を学びたい人 |
| 完全な独学 | 決まっていない | 機材代のみ | 自分で調べ切れる人 |
| 働きながら副業で始める | 3ヶ月〜1年 | 機材代+学習費 | 社会人・子育て中の人 |
上の4つは昔からある道です。5つ目が、この10年で現実的になった道です。
※期間と費用は一般的な目安であり、学校や地域によって幅があります。就職した場合の給与は、求人ボックス 給料ナビの集計(正社員の平均年収420万円/2026年7月時点・掲載求人の中央値)を根拠にしています。
写真の基礎を体系的に学べます。同期や講師とのつながりもできます。ただし2〜4年の時間と、数百万円の学費がかかります。社会人が仕事を辞めて通う選択肢としては、負担が大きすぎます。
給料をもらいながら現場を経験できます。七五三やお宮参りを扱うスタジオなら、家族写真の撮影を数多く経験できます。「未経験歓迎」の求人は数としては出ていますが、中身はブライダル・スタジオ・アシスタントにほぼ集中していて、撮影と関係のない求人も混ざります。実際に1件ずつ数えた結果はカメラマンは未経験でもなれる?にあります。求人ボックスの集計では、正社員の初任給は24万円程度、アルバイト・パートの平均時給は1,086円です。
機材の扱い、ライティング、現場の段取りが身につきます。ただし、募集が表に出ることはほとんどなく、人づてで決まります。拘束時間が長く、収入は低い期間が続きます。
費用は機材代だけです。ただし、何が分からないのかが分からない状態が続きます。撮影技術はYouTubeで学べても、料金の決め方、依頼の受け方、トラブルの避け方は、検索しても出てきません。ここで止まる人が最も多いルートです。
仕事を続けたまま、週末や平日の夕方に撮影を始める形です。収入が途切れないので、生活のリスクがありません。家族写真や出張撮影は、この形と相性がよい分野です。
このルートだけ、最初の1件までの距離が具体的に分かります。 応募できる会社と金額が公開されているからです(各社の募集ページ、2026年8月〜9月時点)。
| 応募先 | 1件の報酬 | 応募の条件 |
|---|---|---|
| ラブグラフ | 11,000〜30,000円 | 未経験OKと明記 |
| えんフォト | 15,000円(税別)〜 | 経験の明記なし。人柄を重視 |
| フォトクリエイト | 10,000〜30,000円+交通費 | 人物撮影経験1年以上 |
| fotowa | 平日14,300円/土日祝17,550円 | 有償の撮影経験と作例20枚 |
上の2つは、今日の状態でも応募できます。 下の2つの条件(経験1年・有償の経験)は、上の2つで作れます。
専門学校の2〜4年に対して、このルートは審査を通れば始められます。 そのかわり、教えてくれる人はいません。
写真スタジオを4店舗経営する小椋翔さん(フォトグラファーの学校 校長)は、カメラの知識がないまま中古3万円のカメラで写真館を始めました。学校にも通わず、アシスタント経験もありません。順番として、撮る技術より先に「誰に売るか」を決めたことが大きいと説明しています。
目指す分野によります。 分けて考えます。
必要性が高い分野
広告、ファッション、報道、映像。大きな現場ではチームで動くため、共通の作法と用語が要ります。就職の経路としても学校が機能します。
必要性が低い分野
家族写真、七五三、お宮参り、ニューボーンフォト、出張撮影。依頼するのは一般の家庭で、選ぶ基準は「この人の写真が好きかどうか」です。学歴や卒業校を聞かれることはまずありません。
家族写真の分野から始めるなら、専門学校に通う必要はありません。ただし「独学でよい」という意味ではなく、撮影の型と、仕事の受け方を学ぶ必要があるという点は変わりません。
順番があります。多くの人が逆から始めて、止まります。
1. 誰を撮るかを決める
「カメラマンになりたい」だけでは前に進みません。七五三か、家族写真か、ウェディングか。決めると、必要な機材も、学ぶべき技術も、依頼の取り方も決まります。
小椋さんはこう言います。
お腹が空いている人を見つけてから、おにぎりを売りに行く
技術を磨いてから仕事を探すのではなく、需要のある場所を先に決める。順番が逆だと、腕は上がっても依頼が来ません。
2. カメラを用意する
決めた分野に必要なものだけをそろえます。最初から高価な機材は要りません。中古で数万円のカメラでも仕事はできます。機材の価格と収入は比例しません。
3. 撮り方の型を身につける
写真はセンスではありません。絞り、シャッタースピード、ISO感度、光の向き。これらは決まった数字と手順で決まります。小椋さんは「写真にはレシピがある」と表現しています。レシピどおりに撮れば、同じ結果が出ます。
4. 30枚の作例をつくる
依頼する人は、あなたの経歴ではなく写真を見ます。家族や友人を撮らせてもらって、見せられる写真をそろえます。ここまでは無料でできます。
5. 最初の1件を受ける
くらしのマーケット、ミツモア、ココナラなどのマッチングサイトに登録するか、SNSで発信して募集します。最初は低い価格でも構いません。1件受けると、次の依頼につながります。
6. 単価を上げていく
実績ができたら価格を見直します。収入がいくらになるかは、単価と件数で決まります。この計算はカメラマンの年収は420万円?就職・副業で決まり方が違うで詳しく説明しています。
未経験から始める手順、広告費をかけずに依頼を受ける方法、実際にいくらになるのかの収益シミュレーション。全4部構成の無料オンライン講座で公開しています。
登録は無料です。メールアドレスだけで受け取れます。
写真の腕は、始めてから身につきます。それより先に効いてくる性質があります。
向いている人
向いていないと感じたら
「センスがない」は、向き不向きの理由になりません。撮影は決まった手順で再現できるためです。
ありません。 募集要項でも使い分けられておらず、えんフォトは職種欄に「フォトグラファー、カメラマン」と並べて書いています。
詳しくはカメラマンとフォトグラファーの違いは?にまとめました。分野ごとの選び方はフォトグラファーになるには?です。
どちらも不要です。 実際に募集している4社(フォトクリエイト・えんフォト・fotowa・ラブグラフ)も、資格を条件にしていません。
例外はドローン(機体登録と飛行の許可・承認)と水中(ダイビングの資格)の2つだけです。
国家検定「写真技能士」の中身と、募集要項が実際に何を求めているかはカメラマンに資格は必要?にまとめました。
3つあります。多くの人が1つ目だけを見て、3つ目を見落とします。

撮影の技術
カメラの設定、構図、光の読み方。決まった手順で身につきます。ここが一番学びやすい部分です。
編集の技術
撮った写真を仕上げる工程です。Lightroomなどのソフトを使います。撮影と同じくらい仕上がりを左右します。
依頼を受ける力
どこに、いくらで、どう見せて出すか。SNS、マッチングサイト、口コミ。ここが抜けていると、どれだけ腕が上がっても収入はゼロのままです。
関西で会社員をしながら土日に撮影している卒業生は、始めた頃をこう振り返っています。
カメラマンをしてて、仕事につながんないなって一人でずっと思ってて。いろいろYouTubeとかSNSとか探してみたけど、全然成果が出ずだった。
— 関西で平日は会社員、土日に出張撮影をしている卒業生
撮り方はYouTubeで学べます。しかし「どこに出せば依頼が来るのか」は、検索してもまとまった形では出てきません。ここで止まる人が多いのは、情報が少ないためです。
専門学校で教わるのは主に1つ目と2つ目です。3つ目は自分で身につけるか、実際にやっている人から学ぶことになります。
実際に、未経験から始めた人たちがいます。
助産師として働きながら
カメラに触れたこともない状態から始めました。むしろ、苦手意識のほうが強い状態でした。
カメラに関しては、もう全然、本当に触ったこともないし、できれば関わりたくないというか、私じゃない人がやればいいなって思ってたんですよね。
— 助産師として働きながら家族写真を撮っている卒業生
始めた理由は、出張着付けの現場で「カメラマンと着付け師の日程を合わせるのが産後は大変」と言われたことでした。自分が撮れれば、その手間が減る。撮りたいから始めたのではなく、困っている人がいたから始めたという順番です。のちに自分の助産院を開くきっかけにもなりました。
元公務員から
「できて当たり前、ミスをすれば怒られる」という行政職から転じました。本人が挙げる一番の変化は、収入ではありませんでした。
ありがとうをいただく数が増えたことですね。
— 元・行政職の公務員から転じた卒業生
行政職の公務員から転じた方のインタビュー(約9分)
2人の子を育てながら(シングルマザー)
図書館で『副業するならカメラマン』を偶然見つけたのが始まりです。今は企業のプロモーション撮影を、紹介だけで受けています。
本当にカメラだけでお仕事をさせてもらって、2人の子供を育てながら生活できるようになりました。
— 2人の子を育てているシングルマザーの卒業生
80歳から
カメラの電源の入れ方から学び始めた方もいます。年齢の上限はありません。
共通しているのは、写真の腕がある状態から始めていないことです。始めてから身につけています。
未経験でもカメラマンになれますか?
なれます。ただし「撮れるようになる」ことと「依頼が来る」ことは別です。両方に手をつける必要があります。
何歳からでも始められますか?
始められます。就職ルートは年齢が影響しますが、個人で撮影を受ける道に年齢制限はありません。
カメラは何を買えばいいですか?
撮る分野を決めてからで構いません。家族写真であれば、中古のミラーレスと標準ズームで始められます。数万円の予算でそろいます。
働きながらでもできますか?
できます。家族写真の撮影は1件あたり1時間前後です。週末だけでも成立します。詳しくは年収の記事で説明しています。
独学と学校、どちらがいいですか?
撮影技術だけなら独学でも身につきます。ただし料金の決め方、依頼の受け方、トラブルの避け方は独学では出てきません。分野によって答えが変わります。
女性でも仕事になりますか?
七五三、お宮参り、ニューボーンフォト、マタニティフォトは、女性を指名する依頼が多い分野です。撮られる側が女性や子どもであるため、性別が選ばれる理由になります。
「腕が上がってから始める」と考えていると、いつまでも始まりません。始めてから上げるほうが、結果的に早く届きます。
※この記事で紹介した事例は個人のものであり、同様の成果を保証するものではありません。
※資格・税制などの制度は変わることがあります。手続きの前に、所管する機関の最新の案内を確認してください。
未経験から始める手順、広告費をかけずに依頼を受ける方法、実際にいくらになるのかの収益シミュレーション。全4部構成の無料オンライン講座で公開しています。
登録は無料です。メールアドレスだけで受け取れます。
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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)
柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。
監修:小椋 翔(フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)
一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。
この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。
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