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カメラマンの年収は420万円?就職・副業で決まり方が違う

海辺で手をつなぐ家族3人(引き・淡い)

「カメラマンの年収」と検索すると、420万円という数字が出てきます。求人ボックスが求人票を集計した平均です。

ただ、この数字を見て判断すると間違えます。420万円は就職してカメラマンになった場合の給料で、写真で収入を得ている人の一部でしかないからです。

会社に入るのか、フリーランスになるのか、仕事を続けながら副業でやるのか。この3つで収入の決まり方がまったく違います。この記事では、3つを分けて、それぞれいくらになるのかを説明します。

カメラマンの年収はどう決まる?

働き方収入の目安決まり方
会社員年収300〜420万円月給。件数が増えても変わらない
フリーランス幅が大きい単価 × 件数
副業月3万〜20万円単価 × 件数

会社員は安定しますが、上限があります。フリーランスと副業は上限がない代わりに、仕事を自分で取る必要があります。

一番大きな違いは、会社員の給料は「時間」で決まり、フリーランスと副業の収入は「件数」で決まることです。ここを取り違えると、収入の見通しが立ちません。

平均年収420万円は、何の数字?

求人ボックスの給料ナビによると、雇用形態ごとの数字は次のとおりです(出典:求人ボックス 給料ナビ。2026年7月時点、掲載求人から算出した中央値)。

雇用形態給与
正社員平均年収 420万円(月給35万円・初任給24万円程度)
アルバイト・パート平均時給 1,086円
派遣社員平均時給 1,700円

この数字は求人票、つまり「人を募集している会社が提示した条件」を集めたものです。したがって次のことが言えます。

  • 写真スタジオ、制作会社、テレビ局などに就職した場合の給料である
  • フリーランスや副業で稼いでいる人の収入は含まれていない
  • 実際に支払われた額ではなく、募集時に提示された条件である

420万円は正社員として採用された場合の水準です。アルバイトから入る道を選ぶと、時給1,086円が目安になります。

そして重要なのは、この道に進むには就職試験を通る必要があるということです。写真の仕事に就きたい人の多くが、ここで足を止めます。

もうひとつの平均値があります

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも、「商業カメラマン」の数字があります(商業カメラマン|job tag)。

項目数字
平均年収492.2万円(令和7年 賃金構造基本統計調査)
平均年齢39.8歳(同上)
就業者数69,170人(令和2年 国勢調査)
有効求人倍率0.37(令和7年度)

420万円と492.2万円。どちらも平均ですが、出どころが違います。

  • 420万円 ── 求人票に書かれた条件(募集時の提示)
  • 492.2万円 ── 賃金構造基本統計調査(事業所に雇われている人が中心の調査)

そして、同じjob tagにこの数字があります。

自営、フリーランス:85.5%

8割以上は、雇われていません。

つまり、420万円も492.2万円も、実際にこの仕事をしている人の大多数を映していないということになります。呼び方と働き方の違いはカメラマンとフォトグラファーの違いは?にまとめました。

有効求人倍率0.37も、同じ方向を指しています。1件の求人におよそ2.7人。就職の入口は狭い。それでも8割以上が続けているのは、就職以外の道があるからです。

※数字は更新されます。必ずご自身で最新のものを確認してください。

段階によって、どう変わりますか?

平均値ではなく、1人のカメラマンがたどった額を見たほうが早いと思います。

フリーランスのカメラマンの方が、自分のキャリアを段階ごとに公開しています(【生活】カメラマンとしてやっていけるのか)。

時期年収
修行時代(約4年)200万円前後
兼業時代(約4年)300〜400万円
会社員時代(約2年)400万円前後
フリーランス時代(現在5年)

専門学校を出てフリーランスになるまで、約10年かかったと書かれています。

注目したいのは兼業時代です。 会社員時代とほぼ同じ水準に、その前の段階で届いています。

「専業にならないと稼げない」わけではないということです。

いま、1時間いくらで受けられますか?

平均年収ではなく、いま実際に提示されている単価を見ます。

出張撮影のfotowaは、カメラマンの報酬を公開しています(カメラマン募集|fotowa、2026年8月27日時点)。

基準報酬(1時間)
平日14,300円
土日祝17,550円

土日祝に月4件受ければ、7万円です。

ただし、この報酬は撮影時間に対するものです。 移動、写真の選定、レタッチ、納品は別にかかります。実質の時給は、これより下がります。

比較のために、別の形も並べます。

受け方報酬
fotowa(土日祝1時間)17,550円
スクールフォト(会社に登録)1回12,000円(源泉引き後10,775円・交通費なし)
ブライダル(式場の下請け)1件1〜3万円
ブライダル(直接依頼)1件11万円

同じ「写真を撮る仕事」で、ここまで幅があります。

スクールフォトの実額はスクールフォトのカメラマンは稼げる?、ブライダルの1〜3万と11万はブライダルカメラマンはきつい?にまとめました。

差を作っているのは腕ではありません。誰から受けているかです。

副業でやるなら、いくらになる?

就職以外の道が、出張撮影を中心とした個人での撮影です。稼ぎ方の全体像は副業カメラマンは稼げる?にまとめています。ここでの収入は、次の式だけで決まります。

収入 = 1件あたりの単価 × 月の件数

出張撮影で撮影した家族写真の作例

たとえば家族写真の出張撮影を1件2万円で受けるとします。

月の件数月の収入必要な時間の目安
2件4万円撮影2時間+編集
5件10万円撮影5時間+編集
10件20万円撮影10時間+編集

撮影そのものは1件あたり1時間前後です。移動と写真の編集を含めても、月に数万円なら週末だけで届く範囲にあります。

「フォトグラファーの学校」校長の小椋翔さんは、月5万円を目標にするなら出張撮影を月2〜3件、労働時間にして月10時間ほどが目安になると説明しています。会社員を続けながらでも成立する分量です。

実際に会社員を続けながら撮っている人の話を挙げます。関西で平日は会社員として働き、土日に出張撮影をしている卒業生は、七五三のシーズンの件数をこう答えています。

毎週、土日、1日2件とかは依頼が入ってるんで、10日入ったとして、20件ぐらい。
— 関西で平日は会社員、土日に出張撮影をしている卒業生

会社員を続けながら土日に撮影している方のインタビュー(約8分)

これは依頼が集中する秋のシーズンの数字です。年間を通してこの件数が続くわけではありません。繁忙期に寄せて、閑散期は落とすというのが、副業で撮る人の実際の形です。

単価はどう決める?

会社員の給料と違い、単価は自分で設定します。ここが収入を大きく左右します。

小椋さんは写真館を始めたとき、当時6万円前後が当たり前だった記念撮影に対して、1時間2万円で撮影データを全部渡すという設定にしました。安くしたのではなく、料金の組み立て方を変えたということです。当時の写真館は、撮影料を抑えて、あとからアルバムやプリントで利益を出す形が主流でした。

依頼する側から見ると、2万円払って写真館へ行くのは迷う金額です。しかし「30分で1万円、データは全部お渡しします」と言われれば、判断は変わります。単価を決めるとは、この判断の分かれ目をどこに置くかを決めることです。

相場と値づけの考え方は出張撮影の料金はどう決まる?で詳しく説明しています。

依頼はどこから来る?

単価が決まっても、依頼が来なければ収入はゼロです。そして依頼が来るかどうかは、写真の腕とは別の話になります。

小椋さんがよく使う言い方があります。

お腹が空いている人を見つけてから、おにぎりを売りに行く

技術を磨いてから仕事を探すのではなく、需要がある場所を先に見つけて、そこに必要な技術を身につける。順番が逆だと、腕は上がっても依頼が来ない状態が続きます。

七五三、お宮参り、ニューボーンフォト(生後間もない赤ちゃんの撮影)、家族写真、発表会。これらは撮ってほしい人が毎年決まった時期に必ず現れる分野です。

年収1000万円は可能?

よく検索されている質問です。結論から言うと、撮影だけで年収1000万円に届く人はいますが、多数派ではありません。

年収1000万円を撮影だけで作るとすると、単価2万円なら年間500件、月に約42件が必要になります。1人で撮り続けるには現実的ではない件数です。

実際に大きく稼いでいる人は、次のどれかを組み合わせています。

  • 単価を上げる:法人案件、広告撮影、ウェディングなど単価の高い分野に移る
  • 撮影以外の収入を作る:スタジオを構える、講座を開く、機材や編集を含めた一式で受ける
  • 人を増やす:自分以外のカメラマンに撮影を任せ、案件を回す
『副業するならカメラマン』(フォレスト出版)書影

小椋さん自身は、わが子を撮るために買った3万円のカメラ1台で写真館を開き、その後に出張撮影を始めています。そこからフィットネスクラブと飲食店も開業し、従業員は多いときで30人以上になりました(『増補改訂版 副業するならカメラマン』著者プロフィールより)。撮影だけで積み上げた数字ではありません。

なお、小椋さんの著書『副業するならカメラマン』(フォレスト出版)の帯には「年収1000万円も可能」とあります。これは撮影を軸に事業として組み立てた場合の到達点であり、撮影の件数を積むだけで届く数字ではありません。本記事で説明してきたとおり、単価・仕組み・人のどれかを動かす必要があります。

「カメラマンとして年収1000万円」を目標にするなら、撮影の腕だけでなく、事業をどう組み立てるかを考える必要があります。

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ジャンルで年収はどう違う?

神社での七五三・お宮参りの家族写真

ジャンル別の年収は、公的な統計がほとんどありません。以下は単価と件数の構造から見た傾向です。

ウェディング・結婚式
1件あたりの単価が高い分野です。ただし土日に集中するため、会社員との兼業なら週末が埋まります。撮り直しがきかない緊張感があり、経験を求められます。

家族写真・出張撮影
単価は1〜3万円ほど。件数を積む形になります。平日夕方や休日の午前など時間の融通が利き、副業として始めやすい分野です。

ニューボーンフォト
生後2週間前後の赤ちゃんを撮る専門分野です。撮れる時期が限られるぶん需要が読みやすく、専門性で差がつきます。

スポーツ・報道・水中・ドローン
専門機材と資格(ドローンなら飛行許可、水中ならダイビングの資格)が必要で、参入までの投資が大きい分野です。仕事の取り方も限られるため、副業から入る道としては現実的ではありません。

ストックフォト
撮った写真を販売サイトに登録し、ダウンロードされるたびに報酬が入る形式です。1ダウンロードあたり数十円で、これだけで生活する水準に届かせるのは容易ではありません。必要な枚数の逆算はストックフォトで稼ぐには?にまとめています。

収入を上げるには、何から手をつける?

写真の仕事で収入を増やしたいとき、手をつける順番があります。

1. 誰に売るかを決める
「カメラマンです」では依頼が来ません。「七五三専門」「助産師でもある家族写真のカメラマン」のように、対象を絞ったほうが選ばれます。

実際に、助産師として働きながら家族写真を撮っている卒業生がいます。カメラに触れたこともない状態から始めた人です。撮り始めた理由は、写真が好きだったからではありませんでした。

出張着付けに行った時のお客様に、カメラマンさんと着付け師さんの調整をするのが、産後はすごい大変って言われて。私が苦手意識を取っ払ってカメラの勉強ができれば、お母さんたちの手間が一つなくなるんじゃないかな。
— 助産師として働きながら家族写真を撮っている卒業生

困っている人が先にいて、そこに合わせて技術を身につけたという順番です。写真の腕で差をつけたのではなく、助産師という経歴と組み合わせたことで、他の人が入れない場所ができました。

2. 単価を決める
安くすれば依頼は増えますが、件数を増やさないと収入が上がりません。時間には限りがあるので、どこかで頭打ちになります。「この価格なら頼む」と思われる線を探します。

3. 件数を安定させる
一度依頼した人が翌年も頼む、知り合いに紹介する。この状態を作れると、集客に使う時間が減ります。子どもの成長記録は毎年続くため、家族写真は特にこの効果が出やすい分野です。

腕を磨くのは、この3つと並行して構いません。順番を「腕 → 集客」にすると、いつまでも始められません。

なお、就職して給料をもらう道を選ぶ場合は、求人の中身がかなり偏っています。実際の求人を数えた結果はカメラマンは未経験でもなれる?にあります。

よくある質問

カメラマンになるのに資格は必要ですか?
必要ありません。カメラマンを名乗るための国家資格はなく、明日から名乗れます。ただしドローン撮影には飛行許可、水中撮影にはダイビングの資格が必要です。

未経験からどのくらいで収入になりますか?
分野と使える時間によります。出張撮影であれば、機材をそろえて撮影の基本を身につけ、最初の依頼を受けるまでが最初の関門です。撮影技術そのものより、依頼を受ける仕組みを作るほうに時間がかかります。

カメラは高いものが必要ですか?
最初から必要ではありません。小椋さんは中古3万円のカメラで写真館を開業しています。機材の価格と収入は比例しません。

会社に副業を知られませんか?
住民税の納付方法を「自分で納付」にすることで、副業分の住民税が勤務先に通知されない形にできます。ただし勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合は、そもそも規則の確認が先です。

女性でもできますか?
七五三、お宮参り、ニューボーンフォト、マタニティフォトは、女性カメラマンを指名する依頼が多い分野です。撮影される側が女性や子どもであるため、性別が選ばれる理由になります。

まとめ

  • カメラマンの平均年収420万円は、就職した場合の求人票をもとにした数字
  • 厚労省のjob tagには492.2万円という別の平均がある(雇われている人が中心の調査)
  • ただし同じ資料で自営・フリーランスが85.5%。どちらの平均も大多数を映していない
  • 有効求人倍率は0.37。就職の入口は狭い
  • あるカメラマンの実額は修行200万円台 → 兼業300〜400万円 → 会社員400万円前後兼業で会社員とほぼ同じ水準に届いている
  • いまの単価はfotowaの土日祝で1時間17,550円(基準報酬)。ただし移動・レタッチ・納品は別
  • 同じ仕事でもスクールフォト1回12,000円、ブライダルは下請け1〜3万・直接11万と幅がある
  • 差を作っているのは腕ではなく、誰から受けているか
  • 副業・フリーランスの収入は「単価 × 件数」で決まる。会社員のように時間では決まらない
  • 月5万円なら出張撮影を月2〜3件。労働時間の目安は月10時間ほど
  • 年収1000万円は撮影だけでは難しく、単価・仕組み・人のいずれかを動かす必要がある
  • 収入を上げる順番は「誰に売るか → 単価 → 件数」。腕はそれと並行でよい

平均年収という1つの数字を見て、写真の仕事を判断する必要はありません。どの働き方を選ぶかで、決まり方そのものが変わります。

関連記事:お金のことカメラマンになる

※この記事で紹介した収入や実績は個人の事例であり、同様の成果を保証するものではありません。

※資格・税制などの制度は変わることがあります。手続きの前に、所管する機関の最新の案内を確認してください。

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執筆:山野井 孝志(フォレスト出版)

柔道整復師。施術とコーチングの経験はあわせて5万件以上。セラピスト向けのセミナー事業で成約率を10%から60%に引き上げ、後輩のセミナー事業の立ち上げにも携わり、年商6,000万円のビジネスを構築。現在はフォレスト出版に在籍しています。

監修:小椋 翔フォトグラファーの学校 学校長/通称:オグショウ)

一般社団法人日本ニューボーンフォトグラファー協会 代表理事。経営コンサルタント。現在5社経営。わが子を撮影するために購入した3万円のカメラ1台で、そのまま写真館をオープンし、その後に出張撮影を開始。2017年、カメラマンを育成する「カメラマン全力授業」「フォトグラファーの学校」を全国で開始し、卒業生は1,400名。日本初のセルフウェディングフォトスタジオ「SELDING」を沖縄に2店舗経営。経営コンサルタントとして3,000人以上を支援。著書に『増補改訂版 副業するならカメラマン』(フォレスト出版)。

この記事は、小椋翔さんの著書・セミナー・受講生へのインタビューと、各サービスの公式情報をもとに構成しています。

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『増補改訂版 副業するならカメラマン』小椋翔・著(フォレスト出版)

『増補改訂版 副業するならカメラマン』小椋翔・著(フォレスト出版/2026年2月)
このサイトで扱っている「需要を先に見つける」という考え方は、この本がもとになっています。